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2026.10.26
日本の投資用不動産、個人名義と法人名義の違い|取得・保有・売却・承継の税制を整理
日本で投資用(賃貸用)不動産を取得する際、個人名義と法人名義のどちらが有利かは一概には言えません。取得時の税金に大きな差はなく、違いが出るのは毎年の課税、損失の扱い、売却時の課税、そして次の世代への承継です。海外の投資家や日本に拠点を持つ企業が日本の不動産を検討する際の基礎知識として、国税庁、総務省、東京都主税局の公表資料をもとに5つの段階に分けて整理します。
1. 取得時
不動産取得税:個人・法人とも同じ税率です。土地と住宅は3%、住宅以外の家屋は4%(2027年3月31日までの取得)で、宅地等は課税標準が2分の1に軽減されます。中古住宅に関する減額は個人が自ら居住する場合などに限られます。
登録免許税:土地の売買は2%(2029年3月31日までは1.5%)、建物の売買は2%です。住宅用家屋の0.3%などの軽減税率は個人が自己の居住用とする場合が対象で、投資用物件には通常適用されません。
法人設立のコスト:法人名義で取得するには会社の設立が必要で、設立登記の登録免許税は株式会社が最低15万円、合同会社が最低6万円です。
2. 保有時
固定資産税:標準税率は1.4%で、名義による違いはありません(賦課期日は1月1日)。
個人:賃料収入から必要経費を差し引いた不動産所得は給与などと合算され、所得税は5%〜45%の累進税率(別途復興特別所得税)、これに住民税(所得割10%)が加わります。
法人:資本金1億円以下の普通法人の場合、法人税率は年800万円以下の所得部分が15%、超える部分が23.2%で、このほか地方税がかかります。赤字でも法人住民税の均等割が生じます。
損失の扱い:個人の不動産所得の赤字は給与所得などと損益通算できますが、土地取得のための借入金利子に相当する部分は対象外です。青色申告法人の欠損金は10年間繰り越せます。
3. 売却時
個人の場合、売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えると長期譲渡所得として所得税15%・住民税5%、5年以下だと短期譲渡所得として所得税30%・住民税9%が課されます(いずれも別途復興特別所得税)。法人には長期・短期の区別がなく、売却益はその期の法人所得に合算されます。
4. 借入と承継
借入:個人の場合は本人の収入や在留資格などが審査され、設立間もない法人では代表者の連帯保証を求められることが多いなど、条件は金融機関ごとに異なります。
承継:個人名義では不動産そのものを、法人名義では株式を承継します。非上場株式は所定の方法で評価され、評価会社が課税時期前3年以内に取得した土地・建物は通常の取引価額で評価されます。
名義の変更:個人が保有する物件を自らの法人に売却する場合も、譲渡所得課税や取得時の税金が改めて生じます。
5. 検討の際に確認したいこと
個人の所得水準と、すでに事業を営む法人があるか
想定する保有期間と出口(売却・承継)
借入先と融資条件
非居住者や外国法人が取得する場合は、賃料に関する源泉徴収や納税管理人の選任など、居住者とは異なる手続が生じることがあるため、事前に税理士へ確認
具体的な税額の試算は税理士、登記は司法書士、融資条件は金融機関、制度の詳細は税務署や都税事務所が相談先となります。日本の不動産を含むクロスボーダー案件の事例として、FinGroupがFAを担当した大阪・難波の大型土地譲渡案件もご参照ください。
FinGroupとThe3%について
FinGroupは東京を拠点に、主に金融機関向けにIR・PR・FA(ファイナンシャル・アドバイザリー)サービスを提供し、海外企業・投資家の日本進出や日本での資金調達を支援しています(投資銀行事業)。グループのウェルスメディア The3% は、リサーチレポート、イベント、ランキング、コミュニティを通じてアジアの富裕層投資家と日本市場をつないでおり、会員数は約16,000名(無料会員・有料会員を含む)です。日本の不動産市場に関するリサーチレポートの全文は THE 3% CLUB 会員向けに提供しています。ご相談はお問い合わせフォームよりご連絡ください。
出典
東京都主税局「不動産取得税」
国税庁タックスアンサー No.7191(登録免許税の税額表、令和8年4月1日現在法令等)、No.2260(所得税の税率)、No.5759(法人税の税率)、No.2250(損益通算)、No.5762(青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除)、No.3208(長期譲渡所得の税額の計算)、No.3211(短期譲渡所得の税額の計算)、No.4638(取引相場のない株式の評価)
国税庁「財産評価基本通達」185
総務省「固定資産税」「個人住民税」
本記事は、ウェルスメディア The3% の不動産解説記事を再構成したものです(2026年10月26日時点で公表資料を確認)。
アイキャッチ写真:Syced / Wikimedia Commons、CC0(東京・六本木の集合住宅、トリミング・文字入れ加工)。
本記事は制度の一般的な解説であり、個別の判断については税理士、弁護士等の専門家にご相談ください。
免責事項:本記事は情報提供のみを目的としており、投資勧誘や助言を行うものではありません。