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2026.11.03

外為法の対内直接投資とは?事前届出・事後報告の手続きと待機期間|2026年改正と2027年施行のポイント

外為法の対内直接投資における事前届出と事後報告を解説するカバー画像(夕暮れの石造官庁風ビル)

外為法(外国為替及び外国貿易法)の対内直接投資等とは、外国投資家による日本企業の株式・持分の取得、役員就任への同意、支店の設置、一定の貸付などを指します。指定業種などでは日本銀行経由で財務大臣・事業所管大臣へ事前届出を行い、受理から原則30日間は実行できません。指定業種以外や事前届出免除を使う場合は、実行後45日以内の事後報告が中心です。2026年6月に改正法が公布され、関連政省令は令和9年(2027年)1月4日から施行予定です。本稿では海外企業・海外投資家が日本進出やM&Aで押さえるべき手続きを、財務省・日本銀行の公表資料をもとに整理します。

1. 「外国投資家」と対象となる行為

  • 外国投資家の範囲:非居住者である個人、外国法令に基づき設立された法人その他の団体、これらに議決権の50%以上を保有されている日本の会社、外国投資家が業務執行組合員の過半数を占める組合などです(外為法26条1項、財務省「外為法・投資審査制度」)。

  • 対内直接投資等の主な類型:非上場会社の株式・持分の取得(1株から対象となり得る)、上場会社の発行済株式または総議決権の1%以上の取得、事業目的の実質的変更や役員就任・重要事業の譲渡などに関する同意、支店等の設置、期間1年超の一定の金銭の貸付、事業の譲受けなどです(外為法26条2項)。

  • 比率の計算では密接関係者分も合算します。日本で子会社を新設し外国親会社が設立時株式を取得する場合も、非上場会社の株式取得に当たります。

2. 事前届出が必要な場合

  • 投資先(子会社等を含む)が営む事業に、国の安全等の観点から告示で定められた指定業種が含まれる場合、原則として事前届出が必要です。武器・航空機・原子力・宇宙、軍事転用可能な汎用品、半導体関連、サイバーセキュリティ、電力・ガス・通信・上水道・鉄道・石油、放送、警備、農林水産、航空運輸・海運などが例示されています(財務省)。

  • 指定業種に当たるかは、定款の事業目的だけでなく実際に営む事業で判断します(日本銀行「外為法Q&A」)。

  • 事前届出は、投資等を行おうとする日の前6か月以内に、日本銀行経由で財務大臣および事業所管大臣へ提出します(オンライン提出が推奨)。受理から原則30日間は実行できません。問題がないと判断されれば短縮され、審査が必要な場合は最大4か月まで延長され得ます(直投令)。

3. 事前届出免除と事後報告

  • 役員に就任しない、非公開の技術関連情報にアクセスしないなど、一定の免除基準を守る資産運用目的の投資については、事前届出が免除される場合があります。外国政府等や特定の高リスク投資家、コア業種への投資などでは利用できない・条件が厳しいケースがあります(財務省)。

  • 免除を利用した場合や、指定業種以外への一定の投資では、投資を行った日から原則45日以内に事後報告を提出します。事前届出を経て実行した場合も、実行から45日以内の実行報告が必要です。様式は日本銀行が公表しており、非居住者は居住者である代理人により提出します。

4. 2026年改正と施行スケジュール

  • 「外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律」は2026年5月29日に成立、6月5日に公布されました。リスク軽減措置の明確化、外国法人等を通じた間接取得の捕捉、外国政府等の影響下にある国内投資家の取扱い、非指定業種への高リスク投資への対応、省庁横断の意見照会などが柱です(財務省概要資料)。

  • 関係政令等は2026年9月16日に公布され、施行は令和9年1月4日、全面適用は同年2月3日の予定です(財務省報道発表)。間接取得の範囲や新様式は政省令・告示で具体化されるため、グループ再編を控える場合は施行日との前後関係を早めに確認してください。

海外投資家・日本進出企業にとってのポイント

  • 子会社設立、第三者割当増資、TOB、事業譲受けのいずれでも、「外為法の要否判断→必要なら事前届出と待機期間→実行と45日以内の報告」を最初からスケジュールに組み込みます。

  • 指定業種の判定は定款だけでは足りず、子会社の事業や通信・インフラ関連の登録状況まで見ます。IT・製造装置・医療機器などは該当しやすいため、デューデリジェンスの早い段階で専門家と確認してください。

  • 2027年1月の改正施行に向け、間接取得やリスク軽減措置の扱いが変わります。クロージング後の報告義務と様式の更新もフォローが必要です。

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出典

  • 財務省「対内直接投資審査制度について」 https://www.mof.go.jp/policy/international_policy/gaitame_kawase/fdi/index.htm

  • 財務省「外為法・投資審査制度」(概要資料) https://www.mof.go.jp/policy/international_policy/contents/pdf/20260729230554_2.pdf

  • 財務省「外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律」概要 https://www.mof.go.jp/policy/international_policy/gaitame_kawase/fdi/260916_koukaiyou_gaiyou_nihongo.pdf

  • 財務省「外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令」等について(2026年9月16日) https://www.mof.go.jp/policy/international_policy/gaitame_kawase/press_release/20260908204517.html

  • 日本銀行「よく寄せられる質問と回答(外為法Q&A):対内直接投資・特定取得」 https://www.boj.or.jp/about/services/tame/faq/t_naito.htm

  • 対内直接投資等に関する政令(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/355CO0000000261

画像:FinGroup オリジナル

免責事項:本記事は公開情報をもとに作成した情報提供のみを目的とするもので、特定の投資や取引を推奨するものではなく、法務・税務・投資に関する助言を行うものではありません。掲載内容は記載時点のもので、法令・告示・様式や運用は変更される場合があります。具体的な案件については、最新の法令等をご確認のうえ、弁護士・司法書士などの専門家にご相談ください。