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2026.11.08
企業結合届出とは?独占禁止法の事前届出基準・30日の禁止期間・審査の流れ|海外企業が日本企業を買収するときの公取委手続

企業結合届出とは、独占禁止法に基づき、一定規模の株式取得、合併、分割、共同株式移転、事業等の譲受けを実行する前に、公正取引委員会へ計画を届け出る制度です。株式取得では、取得側の企業結合集団の国内売上高合計額が200億円を超え、株式発行会社とその子会社の国内売上高合計額が50億円を超え、かつ取得後の議決権保有割合が新たに20%または50%を超える場合に事前届出が必要です(独占禁止法第10条第2項、公正取引委員会「株式取得の届出制度」)。届出受理の日から原則30日を経過するまでは実行できません。公正取引委員会によると、令和7年度に受理した企業結合計画の届出は458件(対前年度比4.8%増)でした。
1. 株式取得・合併・事業譲受けの届出基準
- 株式取得:取得会社の属する企業結合集団の国内売上高合計額200億円超、対象会社(株式発行会社)とその子会社の国内売上高合計額50億円超、かつグループ合算の議決権保有割合が新たに20%または50%を超える場合に届出が必要です(同)。国内売上高は最終事業年度における、国内で供給された商品および役務の価額です。外国会社は決算処理で用いた為替相場(期中平均など)で邦貨換算します(公正取引委員会「届出基準について」Q&A)。
- 合併・共同株式移転:当事会社のいずれか1社の国内売上高合計額が200億円を超え、かつ他のいずれか1社が50億円を超える場合に事前届出が必要です。同一の企業結合集団に属する会社間の行為は届出不要です(公正取引委員会「合併の届出制度」「共同株式移転の届出制度」)。
- 事業等の譲受け:譲受会社の国内売上高合計額が200億円を超え、かつ(1)国内売上高30億円超の会社の事業の全部、または(2)(3)事業の重要部分もしくは事業上の固定資産の全部・重要部分で、対象部分の国内売上高が30億円を超える場合に届出が必要です(独占禁止法第16条第2項、公正取引委員会「事業等の譲受けの届出制度」)。ここでの「重要部分」は会社法上の概念と必ずしも一致しません。
2. 禁止期間と第1次・第2次審査
- 禁止期間:届出受理の日から30日を経過するまで、株式取得等を実行できません。独占禁止法上問題がないことが明らかであり、届出会社が書面で申し出た場合、公正取引委員会は期間を短縮し得ます(独占禁止法第10条第8項、公正取引委員会「企業結合審査の手続に関する対応方針」)。届出は実行予定日から相当の余裕(少なくとも40日程度)をみて行うよう案内されています(企業結合計画届出書記載要領)。
- 第1次審査:禁止期間内に、排除措置命令を行わない旨の通知、より詳細な審査のための報告等の要請(第2次審査への移行)、または確約手続通知のいずれかが行われます(同対応方針)。
- 第2次審査:届出受理後120日を経過した日と、追加の報告等をすべて受理した日から90日を経過した日のいずれか遅い日までに、排除措置命令を行わない旨の通知、確約手続通知、または意見聴取の通知が行われます(独占禁止法第10条第9項)。
- 令和7年度の実績:受理458件のうち、第1次審査で排除措置命令を行わない旨の通知は449件、第1次審査終了前の取下げは8件、第2次審査への移行は1件でした。届出を要しない計画の審査終了は15件、問題解消措置を前提に問題なしと判断した案件は5件でした(公正取引委員会、令和8年6月24日公表)。
- 届出義務違反:事前届出を怠り、もしくは虚偽の届出をした場合、および禁止期間中に株式取得等を実行した場合は、200万円以下の罰金の対象となります(独占禁止法第91条の2)。届出の有無にかかわらず、一定の取引分野における競争を実質的に制限する企業結合は禁止されます。
3. 届出基準未満でも相談が望まれる場合
- 国内売上高が届出基準に達しない場合でも、公正取引委員会は職権で審査できます。買収対価の総額が400億円を超えると見込まれ、かつ①被買収会社の事業拠点や研究開発拠点等が国内に所在する、②日本語のウェブサイトやパンフレットなど国内需要者向けの営業活動がある、③被買収会社の国内売上高合計額が1億円を超える、のいずれかなどを満たし国内需要者への影響が見込まれるときは、相談することが望まれます(企業結合審査の手続に関する対応方針)。
- 届出前相談は任意です。ドラフトチェックには通常2週間から1か月程度かかるとの案内があります。相談しなかったことのみをもって届出後の審査で不利益に扱われることはありません(公正取引委員会「届出制度Q&A」)。
海外投資家・日本進出企業にとってのポイント
- 対日M&Aでは、スキーム(株式譲渡か事業譲渡か、公開買付けか否か)と並行して、企業結合集団ベースの国内売上高と議決権割合を初期に試算してください。親会社・子会社が外国会社であっても、国内売上高があれば合算対象です。
- 外為法の対内直接投資届出と企業結合届出は別手続です。クロージング日程には、原則30日の禁止期間と、複雑な案件では第2次審査までを織り込む必要があります。
- 売上高基準未満でも対価総額が400億円超で日本市場への接点がある案件は、任意相談の要否を検討してください。
FinGroupは、日本進出、日本での資金調達、クロスボーダーM&Aに取り組む企業・金融機関向けにIR・PR・FAサービスを提供しています。詳しくは投資銀行事業および金融メディアThe 3%をご覧いただくか、お問い合わせフォームよりご連絡ください。買収スキームは株式譲渡と事業譲渡の違いは?、公開買付けはTOB(公開買付け)とは?、対内直接投資は外為法の対内直接投資とは?もご参照ください。
出典
- 公正取引委員会「株式取得の届出制度」 https://www.jftc.go.jp/dk/kiketsu/kigyoketsugo/todokede/kabu2.html
- 公正取引委員会「合併の届出制度」 https://www.jftc.go.jp/dk/kiketsu/kigyoketsugo/todokede/gappei2.html
- 公正取引委員会「事業等の譲受けの届出制度」 https://www.jftc.go.jp/dk/kiketsu/kigyoketsugo/todokede/jigyo2.html
- 公正取引委員会「届出基準について」 https://www.jftc.go.jp/dk/kiketsu/kigyoketsugo/qa/todokede.html
- 公正取引委員会「企業結合審査の手続に関する対応方針」 https://www.jftc.go.jp/dk/kiketsu/guideline/guideline/taiouhoushin.html
- 公正取引委員会「(令和8年6月24日)令和7年度における企業結合関係届出等の状況及び主要な企業結合事例について」 https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2026/jun/260624_case.html
- 公正取引委員会(英文)独占禁止法第91条の2 https://www.jftc.go.jp/en/legislation_gls/amended_ama09/amended_ama15_11.html
画像:生成画像(政府庁舎を模した編集用写真)/FinGroup編集
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